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2013年海で出会えた生物ランキング

第1位 日本最南端記録トラウツボ
トラウツボ Muraena pardalis
トラウツボ
撮影日:2013年07月03日 撮影者:今川

今年の1位はトラウツボだ。普通種ですね。でも、沖縄では激レアなのです。 見た場所は多くの人でごった返す夏の真栄田岬。しかもエントリー口のすぐ近くで水深は2m。
ウィキペディアなどでは『沖縄本島以南の琉球列島には分布しない』と書かれていますが、実は1999年に伊江島から報告があります。 それ以来、沖縄では見られていないと思うので、これが日本最南端記録という事になるのかな?

では、何故、温帯性の生物が亜熱帯の沖縄で見られるのでしょうか?
沖縄近海には黒潮と呼ばれる南から北に強く流れる海流があるので、本州で生息している生物が黒潮に逆らって沖縄まで泳いでくるとは考えづらい。
そこで、魚類学の第一人者、瀬能宏さんに話を聞いてみました。
ルーツの特定は直接的には困難ですが、想定されるケースとしては黒潮蛇行部の南側(流向に対して右側)にできる時計回りの海流(ただし弱い)に卵稚仔が乗った場合が考えられます。 黒潮の蛇行部の位置からは、紀伊半島以東の本州太平洋岸から伊豆諸島、さらには小笠原諸島にかけてがルーツの想定域であり、ユウゼンやヨコシマニセモチノウオなどは伊豆-小笠原諸島がルーツかなと思っています。 トラウツボも小笠原にいるので同様な可能性がありますね。

つまり、簡単に言うと、黒潮の右側には本流とは逆の流れが発生して、北の生物が南に流れてくる可能性があるという事らしい。 でも、確率はかなり低く、仮に流れて来ても生息環境が合わなければ成長できないので、そこで死んでしまいます。いわゆる死滅回遊魚(季節来遊漁)というやつです。
本来の生息域ではないので、無効分散という扱いで、ウィキや図鑑が書き換えられることはないと思いますが、トラウツボが沖縄で見れたという奇跡に巡り合えて素直に嬉しい。

そんなこんなで最後は普通種で終わってしまった 2013年の生物ランキングですが、この企画は今川の独断と偏見で行われております。悪しからず。

2014年は今年よりもペースを上げてガンガンに潜りに行くぜ!と思っていますので、皆さんもガンガンに潜りに来て下さいね。 お待ちしていまーす!

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