ユニデンティア属を整理してみた 2025/10/07 |
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似た種が多いユニデンティア属ですが、自分自身も混乱していて間違えていた部分もあるので、ちょっと整理してみました。 ユニデンティア属は、過去にはセスジミノウミウシ属のウミウシと混同されていましたが、触角に突起を持たない点や、側歯を持たないなどの違いで分けられました。 学名の Unidentia は「ユニークな歯を持つ」ということで付けられました。 正中線上に1本、背面縁に2本、合計3本の紫色の縦線を持つのは共通した特徴です。 以前から、千葉大学の研究者とDNAを用いた分子系統解析による分類調査を行っているのですが、ユニデンティア属は現在のところ6種(未記載種1種を含む)に分かれます。 まずは、下の個体。 このウミウシのDNAは Unidentia aliciae に合致しました。 で、こちらのパターンの個体はシテンサンドラウミウシという和名で呼ばれていて、学名はなかったのですが、これも U.aliciae に合致します。 つまり、シテンサンドラウミウシ= U.aliciae ということになります。 もっとも簡単な見分け方は、触角と口触手の半分から先が白色で、口触手の中ほどの上面のみに紫色の斑紋が入ることです。 背側突起の白色の細点の有無は関係ありません。 こちらの個体のDNAは U.sandramillenae と合致しました。 和名はサンドラミノウミウシが充てられています。 サンドラミノウミウシはバリ島などではこのカラーバリエーションになります。 両者に共通する見分け方は、体表や背側突起に白色の細点が入らないこと。 口触手の先端が白色若しくは無色で、次に紫色の領域があり、それが薄くなりながら基部まで続くことです。 で、先週混乱していたこの個体です。 これは U.kiku ですが、和名はアンヘルミノモドキではありません。(和名はなし) 見分け方は、背面と背側突起に白色の斑紋が入ること(これはアンヘルミノモドキも同じ)。 触角と口触手は先端直下が紫色で、全体に白色の斑紋が乱れて入ることです。 アンヘルミノモドキ(学名なし)はこちら。 ※DNAを調べたのですが、データベースに合致するものがないので、消去法でアンヘルミノモドキにしています。 見分け方は、背面と背側突起に白色の斑紋が入ること(これは U.kiku も同じ)。 触角の先端は無色。その下が紫色、その下が白色。基部は体地色と同じ。 口触手の配色パターンも基本同じですが、白色の斑紋は上面のみに入ります。 こちらの個体も上の個体とDNAが同じなので、アンヘルミノモドキです。 背側突起の色は食べたものによって変わるので、あてにはなりません。 あと、これ以外に U.nihonrossija と U.angelvaldesi が知られていますが、沖縄での観察例はありませんでした。 皆さんも過去の写真を見比べて、どの個体に当てはまるか調べてみてくださいね。 |
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